リン=マニュエル・ミランダが手がける本作のミュージカル楽曲はどれもアップテンポで楽しい。
開幕早々『ふしぎなマドリガル家』で心を鷲掴みにされ、内容はダークなのに何故か楽しい気持ちになる『秘密のブルーノ』は思わず口ずさんでしまう。
魔法一家のなかで唯一魔法の力を持たなかったミラベル。奇跡を与えられた祖母アルマ。完璧な姉イザベラ、力持ちなルイーサ。そして、タブーな存在のブルーノ。
登場人物が多いにもかかわらず、ミュージカル楽曲のためか強烈に記憶に残る。
魔法が使えないミラベルはマドリガル家のなかで邪険に扱われている。
完璧な未来を目指すアルマのもとマドリガル家には潜在的な亀裂があり、それは徐々に魔法だらけの家に顕在化してゆく。
異変を察知したイザベラは自分なりに修復できるよう働きかける。
ディズニー映画において〝役割はなにか?〟と、それを見つけることは大きなテーマのひとつだ。
ドアノブを手に取ったイザベラには確かに魔法の力があるのだが、〝家族の関係(未来)を修復する〟役割は魔法の力と言えないような気がしないでもない。
また、この物語の結末は明らかにされていない。一家の魔法は失われたのか、それとも復活したのか。
また、ミラベルのギフトについても様々な解釈ができる。