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デモニックのkuuのレビュー・感想・評価

デモニック(2021年製作の映画)
2.0
『デモニック』
原題 Demonic.
製作年 2021年。上映時間 105分。
『第9地区』『チャッピー』などの鬼才ニール・ブロムカンプによる異色のSFスリラーだけど彼のカラーが変わったかなぁと感じた作品。
前半では母娘の仮想空間での再会を描き、後半は母が過去に起こした犯罪の原因を予測不能な展開でひも解いていく。
出演はドラマ『24 TWENTY FOUR』のカーリー・ポープ、『第9地区』のナタリー・ボルト。

カーリーは絶縁中の母アンジェラが全身麻痺で昏睡状態に陥っていることを知る。
かつて看護師だった母は老人ホームに放火して大量殺人を犯し、カーリーは母との縁を切ったのだった。
母が保護されている医療施設を訪れたカーリーは医師から、母の意識へとつながる仮想空間に入って母を呼び戻してほしいと頼まれる。
半信半疑で仮想空間に入ったカーリーは、そこで母と再会するが。。。

今作品は出だしは、結構、面白いと感じた。
また、ストーリーは興味をそそる点も幾つもあった。
また、演技も適切な感情を与えるのには巧みな方やとも思います。
作中ではシミュレーションと呼ぶ仮想空間のシーンは今作品で最も良く、興味深い部分やったが、その側面は中盤で終わってしまう。
クライマックスでもう一度戻ってくるだけで、その時は、熱から覚めて興味は失せてた。
後半の展開が期待はずれだったのは、この点が大きいかな。
後半部が今作品の目玉商品やと思うので書けはしないが。。。
小生は、ガラガラ抽選会で二等賞が欲しかったのに、一等賞が当たってガックリきた感じ。
筋肉隆々の戦闘部隊ショボすぎる。。。
また、加えて、何か脚本や、時には演技も、もう同じレベルではありませんでした。
もっと最初のコンセプトを重視したプロットで、シミュレーションをもっと掘り下げていけば、もっと面白い映画になったはず。
これでは、クライマックスに素晴らしいシーンが1つあるだけで、あとは引き延ばされて陳腐なものになっていった。
純粋に怖いシーンは多少あったが、後半のヤツのデザインは個人的には好きになれなかったかな。
加えて、姿がほとんど見えないことで苛立ちすら感じた。
確かに、それがより不気味さを増すって場合もあるだろうけど。
ただ、ジャンプスケアーは幾つかあるのはあったけど、その代わり、不穏なイメージの力に頼っているのは好感がもてた。
他の多くの監督が安っぽく突然のブーミングサウンドに走る中、それは尊敬に値するものかな。
全体として、決して悪い作品ではないが、今作品は最終的にもっと良いものになったかもしれない。
面白いコンセプトで、他のホラー映画の群れの中で十分に目立つユニークな作品であるのは確かなんやけど、突っ切れてないとこが低評価の要因かと思います。
この後、ブロムカンプ監督が次の『第9地区』の続編『District 10(原題)』とその次の『Gran Turismo』が今後彼の生命はかかってるんちゃうかな。
どちらも十八番のSFみたいなので盛り返して貰いたいかな。
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