もとまち

送られなかった手紙のもとまちのレビュー・感想・評価

送られなかった手紙(1959年製作の映画)
4.0
画面に横溢するパワーが強すぎる。迸るパッションに共鳴するかのごとく、山火事だろうが吹雪だろうがお構いなしにカメラは飛び込んでいく。森の中をどこまで走っても炎が燃え広がっている山火事シーンなんかは迫力が半端なく、普通に本物の火災を起こしているとしか思えん。無謀な撮影はもはやドキュメンタリーの領域。被写体とカメラの距離が異様に近いのも特徴的で、広角レンズによって画面いっぱいに捉えられたアップは息苦しいほどの顔圧。役者の顔力も凄まじい。激情的な映像で貫くのかと思えば、キャラクターの運命を突き放すかのような冷たいロングショットも随所に現れる。シベリアの圧倒的な自然と、その美しい地獄をひたすらさまよい歩く人間たち。自然は厳かにただそこに在り、人間はそれを前にすれば非力な生物である。残酷なほどの映像美が、その対比を見事に描き出している。やべー映画。
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