backpacker

スーパーマン ディレクターズ・カット版のbackpackerのレビュー・感想・評価

4.5
スーパーマン。
世界一有名なヒーローにして、アメリカン・スピリット、アメリカン・ウェイの体現者。

そんなスーパーマンは、当然ながら数多く映像化されています(1952~58年の人気TVドラマシリーズは代表格として知られ、主演俳優の死の謎は映画化(『ハリウッドランド』)されました。また、スーパーマンの知名度を高めたのはラジオドラマの影響もとても大きいのですが、その点は割愛)。
中でも最も有名なのが、クリストファー・リーヴ主演の1978年版『スーパーマン』。

この78年版スーパーマンは、続編の『スーパーマンII 冒険篇』との同時撮影が行われておりましたが、遅々として進まぬ撮影が、公開時期の延期や予算の逼迫を呼びます。
その結果、今日まで残る『スーパーマン』と『スーパーマンII』の対立、すなわち、一作目監督のリチャード・ドナーと、二作目及び三作目監督のリチャード・レスターの、どちらのスーパーマンこそスーパーマン映画にふさわしいか?という問題につながっていきます。
(もっとも、二作目の7割はリチャード・ドナーが撮影しており、一作目に二作目のオチを持ってきたが為になくなってしまった、二作目のオチ等の追加撮影が、レスターの最初の監督シーンとなったわけですが。)


スーパーマン映画の裏話はまだまだいくらでもあるわけですが、長くなるのでやめます。

本作は"ディレクターズ・カット版"ということで、リチャード・ドナー監督によるカットシーンの追加及び再編集が行われております。
本作の他にも、更に30分もの未公開シーンを加えたエクステンデッド・エディションがありますが、そちらは未鑑賞。
また、劇場公開版を長らく見ていなかった為、本作のどのシーンが追加や再編集されたところかは、残念ながら把握しておりません。
そのうち、劇場公開版の再鑑賞と、エクステンデッド・エディションの鑑賞もしないといけませんね。

バージョンは何であれ、久しぶりに見たスーパーマンは、心が震える程素晴らしい映像で、いたく感動しました。
特に、若きクラーク・ケントが、ジョナサン・ケントの死後、マーサ・ケントと二人で麦畑の中抱き合い、別れを惜しむあのシーンは、もうたまりません。

ロングショットからパンと滑らかな寄りは、言葉にできないほどの美しい。このシーンだけで大感動。
こんなすごいクレーンショット、なんで忘れていたのかと不思議なくらいです。

だいたい、オープニング映像と重厚なテーマ曲に猛烈に心動かされている時点で、その後の何でもかんでもが最高に見えてしまっているんですから、正直完全に盲目の批評ですよね。
そりゃまぁ、例の"オチ"とか、色々ツッコミ所はありますからね。
でも、そんなの気にならないくらい、感動しました。最高でした。


あまりに長期にわたり見ていないと、再見時にまるで初見のような新鮮さを味わえるのがいいですが、これじゃあ映画鑑賞に益々終わりが見えないですね。
嬉しい悲鳴なので、むしろ良いことですけど……。
backpacker

backpacker