このレビューはネタバレを含みます
トータルとしては、やはり1より本戦である2の方がよかった。
ただ、やはり三国志演技自体を知っていると、色々と気になる点も出てくるかと。
・「連環の計」に際して肝心の鳳統が出てこない
・唯一の黄蓋の見せ場である「苦肉の策」がない。進言するシーンだけ。ただ、黄蓋の計の代わりに何と小喬が一人で敵陣に。
結果、赤壁の戦いの肝の部分が、
・風向きをよんで、自分たちが風上になった時に火をつける。
・それまでは小喬が一人で敵をひきつける
と言う、何だかな~な展開に。小喬は美しくていいのですが、正直わざわざああしなくてもよかったかと。そもそもありえないし。
しかし、良かった点もまた多く、特に合戦シーンは同時代を描いたものでは一番ではないかと思う。
バタバタ倒れる兵士に、その中で暴れまわる味方陣営の武将。もちろん劉備配下の「バケモノ三銃士」は大活躍。関羽・張飛はやや物足りないものの、趙雲はまるで呉軍のように、周喩と暴れまわります。孫権も良い(主君がそんな最前線で戦うかとも思うが)。
また、尚香のシーン(個人的には不要)をはじめ、そこかしこに「戦争の悲惨さ」も垣間見せる。
ただ、合戦の間、金城武演じる孔明は全く顔見せず。
彼の活躍場面は、「10万本の矢」「天候読み」の部分くらいと思ったよりも少なかった。
反面、中村獅童は予想以上に大活躍。
「甘寧」ではなく「甘興」だったのは、そのラストのためね。
で、問題のラスト。
これが一番いただけなかった。
これまで「戦うことの悲惨さ」を随所に見せ、感じさせた。
しかし、それは「逆賊を討つ」と言う大儀のためであって、そのために皆が涙を飲んで進んで来た、そう見せてきた。
なのに、なのにだ。
あそこで見逃すのはいただけない。
確実に討てる場面なのに。
原作でも見逃すが、それは関羽の義からであり、またそれを孔明が察し「借りを返させるため」でもあった。
でも、あの見逃し方だと死んでいった者がまったく報われない。
また、それを乗り越えてたどり着いた彼らの言葉としてリアリティを感じない。
あれなら、追い詰めて情けをかけるのではなく、曹操自身が追撃から逃れ、高笑いでもするくらいが良いのではないだろうか。
どう考えても、あのラストに共感できないが、三国志に興味があれば、見るべき作品。