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バトル・ロワイアル 特別篇のEirainのレビュー・感想・評価

3.0
その衝撃的な内容で当時の日本で大きな話題を呼び、"バトル・ロワイアル"というジャンルを確立して後の様々な作品に影響を与えた、深作欣二監督の名作。先日、原作小説を読み終えたので、中学生の頃に観た以来、20年以上ぶりの再鑑賞へ。

新世紀の初め、ひとつの国が壊れた。経済的危機により完全失業率15%、失業者1,000万人を突破。大人を頼れない世界に子供達は暴走し、学級崩壊や家庭崩壊が各地で発生。少年犯罪は増加の一途をたどり、不登校児童・生徒は80万人。校内暴力による教師の殉職者は1,200人を突破した。自信を失くし子供達を恐れた大人たちは、やがてある法案を可決し、施行する。それが、新世紀教育改革法、通称「BR法」だ。
誰もが恐れる「死」を利用し、恐怖支配によって大人の威厳を取り戻す目的で施行されたこの法律は、年に一度全国の中学3年生の中から選ばれた1クラスに、コンピュータ管理された脱出不可能な無人島で、制限時間3日の間に最後の一人になるまで殺し合いを強いるという法律である。
(Wikipediaあらすじ原文ママ。)

「架空の現代日本を舞台に、中学3年生の生徒ら(2名ほど部外者)が、最後の一人になるまでクラスメイト同士で殺し合う―――。」

"バトル・ロワイアル"が、原作では権威主義国家がただ単に楽しむために行われているのに対し、今作では社会問題と絡めて描かれており、過激なエンターテイメントのみを追求した原作とは印象が大きく異なる。(この背景設定の違いにより、登場人物の設定も結構違っている。)どちらが良いかは好みの問題だが、シナリオ面で言えば、(個人的には、)本作映画版の方が良かったかな。個性豊かな生徒たちの"生き様/死に様"が楽しめるのは無論、原作小説。

「内容が過激!」と、公開当時は散々騒がれたが、実際に観るとまあそんなに騒ぐような内容でもない。「公開時とは時代が・・・」という訳でもなく、公開当時に鑑賞した際も同じ印象だった。(国会で取り上げられたりと、話題が大きくなり過ぎてた感が否めない。)しかしながら、"バトル・ロワイアル"という一ジャンルを確立した功績は大きく、記念碑的作品として観ておく価値は十二分にある。

それにしても、藤原竜也が台詞を喋る度に笑いが込み上げてくるのだが・・・なぁんでだろうなぁ?
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