娘の幸せを願ってあれやこれやと仕事から恋人まで押し付けてくる悪意のないお節介な母親像がリアル。またこれが藤田朋子というキャスティングが絶妙。そして小さな田舎に収まっていくことへの焦燥感。
改めて人生を見つめ直す為に大学受験を目指すというメインテーマから急に安っぽいトレンディドラマと化し、そこに出てくる登場人物たちが薄っぺらくて陳腐に感じてしまうのだがこれまた寺脇康文と加藤貴子というキャスティングが絶妙すぎる。ここのリアリティの無さは意図的。
なんか思ってたのと違うぞ……と困惑しつつもここのパートが後の展開にちょっとしたスパイスを与えていて修羅場を迎える辺りからグッと面白い。青春映画だとも言ってたっけ。
あまりにも移り気でフワフワした主人公にヤキモキはするがまぁ人間そう簡単には変われまい。大学受験の成否までを描くのではなく紆余曲折を経てこれからの人生へ向けての確かな答えを出すまで。優子の物語はこれからが本番だ。ラストカットの瞬間もまた絶妙。そのラストに向かうにつれて良くなっていく映画だった。ただ甘っちょろい希望だけに満ちてないのが良い。
ダメダメな主人公なんだけど坂ノ上茜が色んな表情を見せて魅力的に演じているので不快感はない。まぁまぁけっこうとんでもないことをやらかしているのだが。親友役の松原菜野花も良かった。
田舎で燻る焦燥感やら死ぬ気で何か努力をしたことがない……などは身につまされるものがあって日常を描いた映画ってのは中々しんどく思う面もあるな。さすがにいい歳になってるので分不相応な夢も見ないし諦めもついてくるし現状の自分で出来ることを頑張るしかないなと思うのだけども。