けーすけ

私ときどきレッサーパンダのけーすけのレビュー・感想・評価

私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)
3.7
13歳の女の子メイは学校や家の寺の手伝いなど、親の期待に理想の娘でいられるよう日々頑張っていた。しかし、自分の感情をコントロールできなくなったある日、目が覚めると身体が赤く巨大なレッサーパンダになっていた。メイに一体何が起きたのか・・・





本来は劇場公開予定だったけどまたしてもコロナ絡みにてDisney+での配信公開になってしまった本作。気軽に自宅鑑賞できるのはいいけど、見終えてみるとやはり映画館で体感したいとも感じました。

序盤の導入部はメイと彼女をとりまく友人や家族が紹介されていくのですが、結構性急な描写で「ん?んん?」と一瞬取り残されそうになってしまいました。
しかしながらメイがレッサーパンダに変身してしまうあたりから状況が見えてくるので、初見の方はそのあたりまでぜひガマンを。

最初、人間と同じくらいなサイズのレッサーパンダ姿になるのかと思いきやかなり巨大!そしてモフモフ!!(さらにけっこうクサイらしい笑)

このあたりの毛並み感、ほんとにモフモフでちょっとゴワっとした部分もありそうに見える質感のCGが半端なく凄いです。動物的部分に限らず料理などの食材もデフォルメされた部分もあるながらもめちゃ美味しそうに見えてピクサー作品のCGの真骨頂が味わえます。



物語の骨格としては思春期を迎えつつある少女と、子供の為を思って「自分が正しい」と思う育て方をする母親との対立が描かれます。

メイは母親からの「いい子という理想」に応えようとするが、人気アイドルグループも大好きなごく普通の女の子。しかし母親は「そんなアイドルは娘を堕落させる」と全否定し、さらにはメイと関わる友達まで非難するという。
映画ゆえ少し極端な人物の設定ではあるのでしょうが、母親はいわゆる“毒親”全開でちょっと不快に感じてしまったところ。

これは親になったら気持ちは理解できるのかなあ…。でも、自分の子供が仲良くしている友達を自身の価値観で「あの子と一緒に遊ぶのはダメ」って決めつけるのはある種恐ろしい暴力のように思えてしまった。


本作の白眉はレッサーパンダ姿になってしまったメイの元へ仲良し友達たちがやってきた時、メイのレッサーパンダ姿を初めて見て驚きながらもすぐに受け入れるシーン。多様性理解のある意味で究極の姿かも。深い友情の絆が素晴らしいです。


終盤は「え?そんな巨大なのが??」とか「相当な人が怪我して死んでるのでは?」という超展開もありますが、そんな感じでツッコミながら観れば問題なし(?)

メイと同じくらいの年頃の子供が観ても、そのくらいの子供がいる親世代が観ても色々と共感が多いでしょうし、僕は自分の中学生頃の事を思い出したりしてました。


色々と考えさせられる内容は流石ピクサー。とりあえずモフモフ質感を楽しむだけでも一見の価値ありです。
ただ、言語を英語、日本語字幕にしても本来英語であるべき文字情報部分(手紙とか)が日本語にローカライズされる部分は勘弁してほしい…。名札表記が日本語だったのに直後のシーンで英語になってるとか、気になって萎えるー。


2022/03/19(土) Disney+にて鑑賞。
[2022-009]
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