マリオン

私ときどきレッサーパンダのマリオンのレビュー・感想・評価

私ときどきレッサーパンダ(2022年製作の映画)
5.0
第二次性徴期の不安定な心持ちや体の変化、親からの過度な期待などティーンエイジャーの女子の変化やリアルを絶妙な設定で落とし込んでいるのが見事。日本のアニメや漫画を取り込んだかのような演出も素晴らしい。そして女の子達のかけがえのない友情がいい!最高だ!

感情が高ぶるとレッサーパンダになってしまうメイの戸惑いは子供から大人に成長を遂げる過程そのものだ。そして完璧であれという世間からのプレッシャーへの苦悩も合わさる。無自覚に完璧を押し付ける過保護な母親とか本当にキツかった。家族や伝統、正しさ…全てが辛い。

そんな彼女にとって大切な居場所は友達や憧れのアイドル歌手だ。彼らだけはありのままの自分や欲望を肯定してくれる。だからこそ抑圧するのではなく、付き合っていくというスタンスが素晴らしい着地だと思う。母親もまた同じように苦しかったのだという視座もその一つだ。

アニメ表現も日本アニメっぽさや漫画っぽさが取り込まれていて素晴らしい。表情の豊かさも日本アニメ的だし、集中線がさらっと使われてたり、「らんま1/2」や「セーラームーン」っぽさを感じたり…。ありそうでなかったけど、とても新鮮だった。あとレッサーパンダが可愛かった。

それにしても二次創作に勤しむときのメイが面白かった(笑)二次創作はしないけど自分もあんな顔しながら好きなものについて喋ってると思うので…あとナマモノを扱うときは本人の目に触れないところでやるという暗黙のルールを平然と破る母親…やはり許せぬ。

メイと友達たちのくだらないやり取りは『スーパーバッド 童貞ウォーズ』的なくだらなさがあっていいよね。しょうもないこと話しているのは男も女も同じ。でも女子のしょうもない話をようやくちゃんと描けるようになったのかなって。めちゃくちゃ遅いとは思うけど。
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