アメリカでは市民権がなければ、正式な職に就くことはできないし、運転免許すら取れない州が大半だ。主人公がまともに働いてなかったり、犯罪に手を染めるのに共感できないのは、きっと観る側が恵まれた環境に生まれ育ったたから。
強制送還されるまでの過程や取り巻く環境や人々、家族の愛情を丁寧に描き、ラストシーンは涙なくしては見れない。
養子縁組によって幼少期にアメリカに連れて来られたものの市民権を得てない人が数万人もいるそうだが、この人たちは運命を自分で選べなかっただけ。かといって不法移民を全部認めていたら、法律が全く機能しない無法地帯になるし、人数が多すぎて個々の事例に向き合うことも不可能な闇深い問題である。そしてその一人一人にこの映画のような物語があるのだ。