[] 60点
カンヌ映画祭コンペ部門に選出された数少ないレバノン映画の一つ。本作品のレバノン映画史における重要な立ち位置は、後にナディーヌ・ラバキが本作品の題名を捩った『私たちはどこに行くの?』を製作していることからも分かる。レバノンの山岳地域で暮らす一家の父親はブラジルに出稼ぎに出てしまい、遺された妻と二人の息子はそれまで以上に苦しい生活を送ることになる。父親の分まで働いた母親は過労で倒れ、兄は彼女を手伝いながら近所の美女と結婚して否かに残ることを決意するが、弟はそのまま進学して田舎の故郷を離れることに固執する。20年が経ち、村に帰ってきた父親は、家族にすら気付かれないほど老け込んでいて、飛び出したおかげで帰る家すら失くしてしまっていた。"どこへ?"という題名は、貧しい暮らしから抜け出そうと理想郷を夢見て飛び出すが、飛び出した先に理想郷などないことを改めて提示しているのだ。もう一展開くらいあったら傑作だったと思うが、尻切れトンボみたいな状態なのでこのくらいで。