イチロヲ

GONZO〜ならず者ジャーナリスト、ハンターSトンプソンのすべて〜のイチロヲのレビュー・感想・評価

4.0
自分自身を危険地帯へと追い込み、その実体験から人間の欠陥部分を嗅ぎ取っていく。「ゴンゾー・ジャーナリズム」を確立させた、ハンター・S・トンプソンのドキュメンタリー映画。ジョニー・デップがナレーションを担当している。

本作では、ハンターがヘルズ・エンジェルズへの密着取材(1966年頃)で脚光を浴びるようになってからの半生がメインに語られる。若年期にプエルトリコ時代があるのだが、そのときの出来事は「ラム・ダイアリー」として出版、映画化されている。

アメリカン・ドリームの探求と失望の連続性が、ハンターの原動力となっていることは自明の理。ベトナム反戦デモ、公民権運動、サイケデリック革命を実体験することにより、自然発生的にゴンゾーの理念が誕生。愛国者だからこそ、反動が強大になってしまう。

ハンターが拳銃自殺を遂げたのは、2005年2月、68歳のとき。丁度、ブッシュ政権と同時多発テロの時分。アメリカン・ドリームの喪失、愛国心の崩壊、肉体的限界など、あらゆる感情が玉石混交した境遇を、推察することができる。
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