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沈黙のパレードのminorufukuのネタバレレビュー・内容・結末

沈黙のパレード(2022年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

3年前から行方不明となっていた女性が死体として発見される。容疑者として浮上したのは、かつて児童殺害事件で完全黙秘を貫き無罪となった男だった。容疑者は被害者の家族が暮らす商店街を訪れ、挑発行為を行うが、商店街の祭りの日に何者かに殺されてしまう。商店街の面々にはアリバイがあり、殺害方法も特定できない。
行き詰まった女性刑事は過去に度々捜査協力を頼んだ物理学者・湯川学に会いにいくのだが......という話。
『ガリレオ』シリーズの劇場版第3弾。原作小説は未読だったが、前二作はチェック済みの状態で鑑賞。

今回は鑑賞後、すごく反省してしまった。
駄作邦画をたくさん観てきたせいか「また本編に関係ない無駄なシーン入れてる」みたいなダメな先入観でエセ評論家気取りで観ていたのだが、結果、無駄だと思ってた要素は全部本筋と結びついていて、事件や関係者たちについて視点を変えて眺めることで隠された事実が次から次へと現れてくる構成に圧倒された。劇場版三作の中では一番クオリティが高かった。

「オリエント急行殺人事件」的な集団犯罪の面白さもさることながら、完全黙秘で罪を逃れられるという司法の矛盾への批判が含まれていて、更にその黙秘の手段を復讐者たちも用いるという物悲しいストーリーにも惹きつけられた。商店街のメンバーが大切に見守ってきた被害者とのエピソードが随所に挿入されていて切なかった。

犯行手段と主人公の推理については、ややツッコミどころがあり、この手段を取るに必要性もやや疑問に感じる部分もあったが、演出と登場人物のキャラクターの魅力で違和感なく見せていた。
長期シリーズ特有の、役者陣の加齢と作中時間が乖離してしまう問題も本作では上手く処理していて、役者陣も痛くない程度に役に溶け込んでいた。まあ、エンドロールで流れていた過去作の映像見ると時代を感じてしまうけど。

主人公サイドの視点で見ると感動ストーリーとして終わってるけど、事件の全貌を商店街の人間が知ったなら仲良かった関係性に影響出そう。被害者に相談された作曲家妻がもっと大人の対応していたらそもそも事件にならなかっただろうし、被害者を妊娠させた彼氏にも責任の一旦はあると考えたりするかも。さすがに警察が隠すかなあ。

そんなに「ガリレオ」シリーズ詳しくないのだが、主人公てもっと人付き合い下手な人物な印象があったので、商店街の人と仲良すぎてびっくり(^^)
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