なお

沈黙のパレードのなおのネタバレレビュー・内容・結末

沈黙のパレード(2022年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

"沈黙は金"

約1か月ぶりの映画館訪問。
1か月…1か月だと?この私が?

というのもここ1カ月は仕事が忙しかったのとプライベートでは住居の引っ越しやら友人との飲み会やらでなかなか時間が取れず、映画館はおろかサブスクでの映画もまともに見られていなかったワケです。ハイ。

余談はさておき、久しぶりの映画館ハシゴ1本目はこちら。
劇場版としての前作『真夏の方程式』以来約9年ぶりに天才科学者・湯川学が大スクリーンに帰ってきた。

✏️実に面白い
原作は読破済み。
といっても読んだのは4年前なので内容は断片的にしか覚えていなかったが、そんな問題を差し置いてもなんら差し支えのないクオリティ。

幼い少女や明るい未来に希望満ち溢れる女子高生を殺害した疑いをかけられつつも、証拠不十分や時効といった「法の抜け穴」を利用し服役を免れる本作のキーパーソン・蓮沼寛一。

そんな蓮沼を「善意」から策略に陥れ真実を引き出そうとする町の人びとや、蓮沼が関わる過去の事件にトラウマを持つ草薙刑事と湯川の関係性、沈黙を守り続ける証人たちとは対照的に豪華絢爛な装飾と音楽で町を活気づけるパレードという催し…

一筋縄ではいかぬテーマ性と物語を持った「沈黙のパレード」を見事に映像化した映画だと思う。

また、出演俳優陣の好演も光る。

『真夏の方程式』の時は40代だった福山さんも、時は流れ53歳に。
だがしかし、やはり彼の演じる「ガリレオ」は、なんだろう、まるでホームに帰ってきたときのような安心感があるし、何ならちょっとした懐かしさすらあって映画序盤から泣きそうになってしまった。

柴咲コウさんも相変わらずの美貌。
本作のエンドロールにて、2007年に放送されたドラマ版の映像が流されるのだけど、その頃と見比べてお顔立ちが全く変わってない。
変人・湯川学のパートナー(?)、内海薫はやはりこの人でなくっちゃ。

草薙刑事。
本作はガリレオのシリーズ作品でありながら、彼の物語でもある。
蓮沼という、日本の司法制度が生み出してしまった怪物を捕まえ、真実を打ち明けさせるために執念という執念を見せ続ける。
この草薙刑事役もまた、北村一輝さんをおいて他にない。

そしてこの物語の重要人物のひとり、町の食堂を家族で経営する並木祐太郎を演じた、お笑いコンビ・ずんの飯尾和樹さん。
もうすっかり俳優の顔ですな…笑
ベテラン俳優の演技と比べても見劣りしない演技力。芸人の枠を完全に超えている。

そしてガリレオといえば、犯人が使用したトリックを明かすために行われる実験シーン。
本作では液体窒素が被害者殺害のためのトリックとして利用されたが、こちらもバッチリカバー。

☑️まとめ
人間ドラマに、ガリレオ名物の実験シーンまで完全網羅。

やっぱりガリレオシリーズのいいところって、「ただ犯人を憎いから殺した」に留まらない、物語に絡む様々な登場人物たちの判断や思惑、そしてその判断や思惑というのも、「愛」とか「慈しみ」を発端とするもので、見ていてなんだかとてもやるせない気持ちになれるところだと思う。

自分は中学生という多感な時期に「ガリレオ」に触れファンになったけど、15年経ってもやはり色あせない、天才/変人科学者と犯人逮捕に執念を燃やす刑事たちの姿がここにはあった。

🎬2022年鑑賞数:103(43)
※カッコ内は劇場鑑賞数
なお

なお