ヤスマサ

沈黙のパレードのヤスマサのレビュー・感想・評価

沈黙のパレード(2022年製作の映画)
3.5
東野圭吾の小説を原作にした、変人ガリレオの異名を持つ物理学者の湯川学(福山雅治)が難事件を解き明かしていく、テレビドラマ「ガリレオ」シリーズの劇場版第3作目。
行方不明だった並木佐織が遺体で発見された事件の容疑者は、かつて草薙俊平(北村一輝)が担当した少女殺害事件の容疑者で無罪となった蓮沼寛一だった。
菅沼は今回も証拠不十分で釈放されると佐織の地元の菊野市に現れるが、祭りのパレード当日、何者かに殺害されてしまう。

佐織の家族、恋人、商店街の人々…、全員に動機がありながら全員にアリバイがあるというアガサクリスティのような展開。
前作までの劇場版と同様、テレビシリーズとは一線を画した悲しきヒューマン・ドラマだ。
湯川の朋友である草薙のために、内海薫巡査部長(柴崎コウ)が捜査協力を依頼するが、作中ではそれがためか、元々なのか分からなかったものの、湯川は佐織の実家である食堂『なみきや』の常連客となり事件に関わりを持っていく。
「沈黙」がキーワードになるのだが、それは蓮沼の黙秘や、佐織を取り巻く人たちの口をつぐむ姿ばかりでなく、解決への糸口となる、蓮沼が死を前に「沈黙」を破ったのか否かが要となる。
生前の佐織の姿が多用されていたり、草薙の葛藤が表現されていたりと、観ているものの心情に訴える作りなのだが、加害者側にそれほど感情移入出来ないせいか、過去の二作品に比べて、どこか物足りなさを感じてしまう。
エンドロールで過去作をフィードバックしているので、この作品でガリレオは終わりなのだろうが、個人的にガリレオのシリーズは好きなので、リベンジの作品を期待したい。
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