豚肉丸

アスファルト・ジャングルの豚肉丸のレビュー・感想・評価

アスファルト・ジャングル(1950年製作の映画)
4.6
刑務所から出所したばかりの男が仲間を集めて今までで一番デカい宝石強盗を企てるお話

まさに教科書的なノワール映画という感じで面白い。仲間が集まり、強盗が起こり、最終的にそれぞれが破滅に向かっていく...まさに定番の流れに沿ったノワール映画ではあるものの、物語の描き方や演出の見せ方がどれも丁寧でしっかり面白い。
キャラクターが集まる前半。家族を持っている男の元に強盗の誘いの電話が来るものの、「家族がいるから」という理由で断る。しかし電話を切った後寝室に戻り、寝ている妻と赤ちゃんを見つめ、何かを覚悟したかのように部屋に戻って電話をかけ直す。その瞬間にこだまする赤ちゃんの泣き声の不穏さ!

重要な宝石強盗の場面では一切劇伴が使われていないのが印象的。ニトロで爆破した後に鳴り響く警報音と徐々に近づいてくるパトカーのサイレン!盛り上がるような劇伴も無ければ一つの作業をこなすように淡々と進めているのに、ここまでスリルが出せるのかという驚き。
そして何より終盤のジュークボックスの演出が神がかっていて最高。男が女のダンスを眺めるまでに至るまでの過程、そして女のダンスから窓越しの人物の映すまでの一連のショットが凄すぎる。ラストの無情で雄大なラストカットも最高で凄い。どことなくバルタザールを思い出す。
物語、映像、演出のどれもがピッタリとハマっていてまさにノワール映画というジャンルが持っている美味しい部分を確かに味わえた。滅茶苦茶面白かった!
豚肉丸

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