みちろう

イン・ザ・ベッドルームのみちろうのレビュー・感想・評価

イン・ザ・ベッドルーム(2001年製作の映画)
4.3
ターが面白かったから同じ監督の作品をちょっと観てみた

メイン州の穏やかな町が舞台。ある青年(T3ジョンコナー)の一夏の恋、自分の夢のために進学するか家族のために地元に残るかの悩みなどを交えて大人になっていく彼の姿をのんびり描くヒューマンドラマかと思ってたら急展開。そこから焦点は彼の両親にシフトしていき息子を失った2人の物語が進行する。

前を向いて何事も無かったかのように元の生活を取り戻そうとするマット(父)と感情を失ってしまったルース(母)。悲劇によって崩壊した家族の様子が映されていくけどこの映画は静かに多くを語らず観せずのスタイルでそれらを描いてく。

2人が息子を亡くした事実以外は何も変わらない普通の日常。そんな中で後悔、怒り、無念など色んな感情を2人のかすかな表情から読み解いていくのは正直何もなさすぎて見過ごしたりもしたけど同時に泣き叫んだり怒鳴り散らしたりせず常にスンとした感じで日常を過ごす姿は本当に誰かを亡くした人がしそうな自然で説得力あるものだった。まるで自分が死んだ後の世界を見てるよう。

終盤のもはやクライムサスペンスな展開はクライマックスの盛り上がり要素でもあって最終的にこの家族が取った選択についても考えさせられるものだった。

さすがにターほどの奇抜な感じは無かったけど面白いカメラワークや(鏡越しの会話、バックミラーのショット、弁護士ドアップ、小銭の音 等)民謡音楽を取り入れたりと監督のクリエイティブさを感じる所がチラホラあって面白い。

エンディングで原作があることを知って多分そっちの方がより細かい描写があって理解が深まるんじゃないかなーって思った。読んでみたい。
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