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『ある学生』に投稿された感想・評価

[現代カザフスタンに生きるラスコーリニコフ] 70点

ダルジャン・オミルバエフ長編六作目。今回は『罪と罰』を土台としている。主人公は金欠大学生、冒頭では映画撮影の現場で働いている。しかし、主演女優に惚れたスタッフがボーッとして彼女に熱々の紅茶をぶち撒けてしまい、撮影はご破産となる。映画監督役でダルジャン・オミルバエフが登場し、"若者はこんな気楽で呑気な生活を送ってると思ってるんですか?"と訊く学生新聞の記者に対して"そんなものは現実世界にいっぱいあるんだから映画くらい休息と楽しみを求めていいじゃないか"と返しているが、本作品自体は実に重苦しい。ラヴ・ディアスくらいずっとキレてる。資本主義の波に乗って金持ちになろう!弱者は強者に食われるだけだ!と説く大学教授、一方で西欧を軽蔑して修正社会主義を信奉する別の教授、犬に高級肉を買うブルジョワの世話をする警備員、高級車を泥沼から引っ張るロバをゴルフクラブで殴り倒す小金持ち、と拡大する不平等を可視化するような人々が登場する。そして、主人公の憎悪は、老人にツケ払いを認めなかった生活雑貨店の店主へと向く。そして、彼が祖父の勲章と引き換えに拳銃を確保したあたりから物語には漠然とした不安が画面内を渦巻き始める。特に実行に移す際の視線劇、日常生活に紛れる中で窓から見える通行人の影みたいな視覚化は良かった。また、近年のオミルバエフ作品の例に漏れず、夢オチ展開や殴られる場面を直接見せないシーンやドアに人が群がるシーンなどが入っており、金太郎飴みたいだなと思ってしまった(ヒッチコックのカメオ出演みたいに最早楽しみにしている感すらある)。原作のソーニャに相当する人物として、聾唖の少女が登場する。彼女はこの時代にあって詩人を続ける老父と車椅子の老母、二人の妹を支えながら家事全般をこなしているっぽい人物である。原作未読なんでどの程度似ているのかは不明だが、少なくとも映画では少女と主人公の関わり合いがほぼないので、純真無垢な障碍者に勝手に希望を見出すようなグロテスクさと気持ち悪さがあった。
CHEBUNBUN

CHEBUNBUNの感想・評価

4.8
【カザフスタンの「罪と罰」】
カザフスタンのタルコフスキーことダルジャン・オミルバエフ監督がドストエフスキー「罪と罰」に挑んだ作品『ある学生』を観ました。『The Road』に引き続き、厳格なカメラワークが凄まじい大傑作でありました。

映画の撮影現場、カット!と掛け声がかかり、休憩時間に入る。ジャーナリストはすかさず監督の間合いに入りインタビューを始める。下っ端は、豪華絢爛とした女優にお菓子と紅茶を差し出す。テーブルはないので、彼の手がテーブルとなっている。監督にカメラは切り替わりインタビューが展開される。すると、ガシャンと音がなる。カットが切り替わると、紅茶がブチまけられている。どうやら女優にこぼしてしまったようだ。怒った女優はマネージャーに電話して撤収する。黒づくめの男が現れると、「お前か?」と言い、下っ端を連行しリンチする。ドライな暴力と空気が魅せる階級差。インディーズ映画でありながら、ロベール・ブレッソンのような厳格なショット群を観ると、映画学校の学生が観たらインスピレーションが掻き立てられるのではと思う程に凄まじい。

オミルバエフ監督の手や動きへの拘りがドストエフスキー特有の閉塞感を引き出していく。『The Road』もそうだが、彼がワンポイントアクセントとして銃を取り出すと、さらにキレが増す。

本作なんといっても小売店の店主を殺害する場面の流れが感動を覚える。メガネを掛けた陰キャラ学生は、何度も小売店に入って殺しを試みようとするが殺せない。いよいよXデー。一度、店を出た彼は息を整えて再入店し殺害する。そこへ、偶然にも女性が入り込んでしまい彼女も殺害してしまう。店に出る。メガネ男の焦燥にフォーカスを当てる。別の客がさらに店に迫る修羅場が畳み掛けてきて、絶妙なバレるかバレないかサスペンスが展開される。上手いこと脱出するものの、犯行現場にビニール袋を忘れてきてしまう。この生々しい詰めの甘さがリアルさを引き出し、その後唐突に警察が訪ねて来る場面では、彼のいる空間からでは警察の目的が分からない構図を生み出し不安を増幅させる。夢の場面では、家族が鋭い眼光で彼を見つめながら車を走らせる無機質な不気味さを作り込み、罪意識に悩まされる青年の静かな葛藤を紡いでいく。

ダルジャン・オミルバエフ監督はアテネフランセでもいいので特集されてほしい。ロベール・ブレッソンやアンドレイ・タルコフスキー好きが多い日本の映画ファンに刺さる監督であること間違いなしだ。