韓国映画が観たいっ!
ファン・ジョンミン役のファン・ジョンミンが観れる映画ということで。
演技力の鬼。眼力の圧倒的存在感。
支配される側に回っても、怯むことのない表情、表現。
背中しか見えないジャケットからでも、それは十二分に滲み出している。
トップスターの誘拐事件。
ファン・ジョンミンの演技力をフルに活かし、その顛末は語られる。
ファン・ジョンミンが放つ、
ノンストップ・クライムサスペンス!!
以下、ネタバレを含みます。
この映画、やりたいことは凄く分かるのだけど、なんともお粗末な印象。
本人役で演じるファン・ジョンミンの起用の魂胆が透けすぎているし、効果的な配役とは決して思えない。
本人を登場させる以上、現実路線のストーリーになるしかないのだが、ストーリーを固める設定やキャラクターが安物の作り物という風にしか見えない。
そうなると、せっかくの彼の熱演は浮いてしまう。
また、ファン・ジョンミンを使う目的というのが、「演技力だけで、窮地からの逆転するシーンを撮る」としか思えず、当該のシーンであってもカタルシスは非常に薄い。
このようなサスペンス映画にとって、犯人役は極めて重要な立ち位置で、主人公たちをどれだけ絶望的に見せるか、悪の本質を見せつけられるかは、ストーリーの展開上気にしなければいけないはずだ。
しかし、警察の無能さ、犯人のエセサイコパス感、動機の薄さ、など、およそ引き立てることには無縁の外周に目が行ってしまう。
ファン・ジョンミンの演技力を活かすなら、その辺りをもっと丁寧に脚本するべきだと思う。
彼を起用したら、予算がなくなったのか?
と思わざるを得ないような、チープさが、本来とは逆に彼を浮き彫りにさせていたことが、とても悲しい。