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セルフィのakrutmのレビュー・感想・評価

セルフィ(2019年製作の映画)
4.0
デジタルツール・技術に溺れている「中毒」者たちを面白おかしく描くことで、現在のIT社会をチクリと風刺したコメディ映画。5人の監督がそれぞれ担当した5つの小話からなるオムニバス形式であるが、中心となるひとつの話「Vlog」だけが独立していて、その他の4つの話は登場人物たちが緩くつながっている。

ゲラゲラ笑えるようなコメディではなく、くすっと含み笑いするような感じの映画。特に、現在のIT、SNSなどを便利に利用しながらも、そのような社会を客観的に(場合によっては否定的に)見ることができる(私のような)世代にはハマると思う。一方で、このような世界がはじめから当たり前になっている世代だと、ピンとこないのかもしれない。なぜかレビューがかなり少ないが、もっと評価されていい作品。

5つの小話の中心となるのが、難病の息子のためにVlogを用いて支援を募っていたが、いつの間にか再生数を稼ぐことが目的となってしまった夫婦の物語。他の映画やドラマでもありえるような内容ではあるが、奇跡的に息子の病気が完治してしまったことで迷走する夫婦の姿が馬鹿馬鹿しくて笑える。最後のブラックな落ちもグッド!

その他の4つの話もそれぞれ面白い。個人的に好きなエルザ・ジルベルスタインのイタイタしい教師もいいのだが、話としてはありふれている。特に気に入ったのは、アマゾンのようなショッピングサイトで提示される「あなたへのおすすめ」商品をそのまま信じて購入する男性の話。なぜその商品がおすすめされたのかがわからず、いろいろと考えるようになるというストーリー展開が面白い。それから、マッチングアプリで個人に点数がつくっていうのが凄い。これって当たり前なのか。
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