サマータイムブルース

ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのサマータイムブルースのレビュー・感想・評価

4.0
アメリカのバンド、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの音楽ドキュメンタリー映画です
監督は、「ベルベット・ゴールドマイン」や「ダーク・ウォーターズ」のトッド・ヘインズさん
大体この手のドキュメンタリー映画はつまらないの多いですけど、これは面白かったです

2時間の尺の約半分はメンバーの少年時代の思い出や、結成に至るまでのお話し
独白形式で、いろんな関係者が出て来ます
全員知らなくても、楽しめました
今まで未公開だったパフォーマンスやレコーディングなどの秘蔵映像が豊富に使われていて、映像もアートで実験的です

映画の半分が過ぎた頃、ようやくニコが登場して、バナナアルバムの話が始まります
ここから俄然面白くなってきます

笑ったのが、ニコがバンドに加わった経緯
当時ニコを売り出していた、ポール・モリセイがアンディ・ウォーホールに、ただのロックバンドでは売れない、ルーはルックスも歌声も格別にいいわけじゃないし、美女を入れるべきだ、とアドバイスしたそうです
ルーは不満だったみたいだけど、結果として、それが良かった、ということになりますね

あと、印象に残ったのが、バンドが西海岸に遠征に行った時に、フランク・ザッパのバンドと出くわした時の話
西海岸を象徴する彼らを軽蔑していた、と吐露しています
当時のヒッピー文化も嫌いだったとか

個人的には、バンドのアヴァンギャルドな部分を支えていた、ジョン・ケールがいた2枚目までのアルバムが好き(特にバナナ)、それ以降はだいぶおとなしめな音になって、ルー・リード+彼のバック・バンドみたいになってしまった印象です
まあ、ルーの音楽も好きだからそれはそれでいいんですけどね

今でもバナナアルバム聞くと鳥肌立ちます

ルーも、アンディ・ウォーホールも、ニコも、スターリング・モリソンも、今や故人となってしまいました
時の流れを感じてしまいます

今の若い人たちは彼らを知らないんだろうな
知らないとこの映画は楽しめないのかな、とは思いました

以上