町蔵

そんなの気にしないの町蔵のレビュー・感想・評価

そんなの気にしない(2021年製作の映画)
3.7
2022年/115分/カラー/フランス=ベルギー
監督:エマニュエル・マール&ジュリー・ルクストル/出演:アデル・エグザルコプロス、アレクサンドル・ペリエ、マーラ・タキン

◆格安航空会社の客室乗務員のカサンドラは、マッチングアプリ「ティンダー」のニックネーム「カルペディエム(その日を掴め)」に忠実に、フライトからフライトへ、パーティからパーティへ、しがらみのない毎日を生きている。しかし、会社のプレッシャーは厳しさを増し、カサンドラはしだいに自分を見失っていく......。『マンデュブル』に続き、アデル・エグザルコプロス(『アデル、ブルーな熱い色』)が素晴らしい演技を見せている。第75回カンヌ国際映画祭批評家週間出品。「ジュリー・ルクストルとエマニュエル・マールは、即興と綿密な再現を織り交ぜた演出で、ジェネレーションYの感動的な物語を描き出すことに成功している」

初長編『RIEN À FOUTRE』では、2013年カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞し注目された、アブデラティフ・ケシシュ監督『アデル、ブルーは熱い色』(2013)のアデル・エグザルホプロスを主演に迎えている。ローコストの航空会社の客室乗務員としての日常は、機械的な動作と言葉の反復だ。安全確認、お決まりのセリフ、飲食&機内販売サービスのルーティーン、、、その中で感情を押し殺せない瞬間をどう生きるか、他者に対して人間的であり続けられるかが問われるのだ。エグザルホプロスの、一つひとつの動作のディテール、眼差し、感情をあらわにすることなく、ためらいながら発する言葉一つひとつが見せるささやかな世界への抵抗の瞬間に涙せずにはいられない。私たちの立っている世界の不確かさを結晶化した、この作品の演出の繊細さは決して弱さではない。

やや散漫な印象はあるものの、監督の次作も必見
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