かめしゃん

そんなの気にしないのかめしゃんのレビュー・感想・評価

そんなの気にしない(2021年製作の映画)
5.0
・仕事でぎちぎちに左脳を酷使しきって、オフの主人公は胎児帰り寸前になってるようにも見える(強い虚脱感、軽度の鬱状態、場当たり的自己解放)

・ストーリー上、父親から生まれたときの様子を聴く場面がある 元々は動物だったんだとはっきりと示唆がある

・コロナで強制的にたぶん仕事はいったんリセットになり、主人公は今後の人生について考える時期に入ったと思われる(夢のドバイがどこか形骸化して目に映っている感じがする)

・他の人のレビューで参考になったのが、それまで撮影されて観測されていた側の主人公が、スマートフォンの自撮りで(下手クソに、しかし主体的に)周囲を撮影してからカメラレンズの方に顔を向ける場面 
映画の鑑賞者に対して「貴方はどうする感じ?」と聞かれている様子なのだという指摘があった(演出の意図としてちょっとわかりづらいが、なるほど、となった 演出やりすぎないを評価したい)

・教官や管理職からは「自己統制」「自己の忘却」「規則の徹底」などを強く求められていたが、「自分の心を取り戻す」ための物語へ ラストはそういうパラダイムシフトを表しているんじゃないかと思った

・母親の事故に向き合うこと、家族との親睦の深まりから、主人公が逃避的に各国を飛び回らなくてはならない理由(それが楽だったのだと思う)は、すこし解消に向かった気がするから
・そこをラストシーンでエミレーツでの百パーセントの自己実現、なんかにしてしまうと正にハリウッド的になってしまいパターン化が強くなりすぎるし、タフ過ぎやしないか、と感じる
・今後どうなるのかは未定、という終わり方がすごく良い
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