カポERROR

猿の惑星:創世記(ジェネシス)のカポERRORのレビュー・感想・評価

4.3
初めに言っておこう。
本作は比類なき傑作である。
Filmarksスコア 3.6?
フッ・᷄֊・᷅…集計ミスに違いない。
過去、アニマル映画で、これ程感情移入出来る作品があったか?
否!!!
は?何なに?…
『ズートピア』?
『パディントン』?
『僕のワンダフルライフ』?
…なるほど。
確かにどれも私の好きな作品ではあるが、本作の感情移入度には遠く遠~く及ばない。
何故か?…
それは…
本作の主人公、エイプス(類人猿)のシーザーが…

…私の父に瓜二つだからである。

今回はレビューでもなければ、感想ですらない。
言わば、私情満載の創世記コラムである。
覚悟されたし。

✤✤✤

私の父は、体長150cmのノブロウ(仮名)という名の猿的な生命体である。
北島三郎に似ていたことから、私が物心ついた時には既に、周りから〖サブちゃん〗と呼ばれていた…ノブロウなのに。
そんな〖サブちゃん〗は母に全く頭が上がらず、威厳など微塵も無かったが、とにかく明るく呑気な性格で、その小さな体格も相まって、周りからはペットのように愛されていた。
私は子供の頃、そんな風格のない父が情けなく且つ恥ずかしく思えて、友人には絶対に見られたくなかったのを覚えている。
だが、月日が流れ…私自身が所帯を持って、子供が産まれ父親になって、知らぬ間に仕事や家庭でストレスが溜まるようになって、人生投げ出したいと何度も自暴自棄になって…そうなって初めて気付いたのだ。

『父が今まで一度たりとも愚痴を口にしたことが無いこと』に。

私は、自分が知る限りの父をありったけ思い出してみた。
…海外旅行に行ったことがないのに、
 明らかに日本語ではない言語の寝言しか
 言わない父。
…歯医者で麻酔の注射を打たれる寸前に、
 恐怖で気を失ってしまい、麻酔を打つ
 必要がなくなってしまった父。
…週末深夜のテレビで映画『エマニュエル
 夫人』を放送した時に、ステテコと
 パンツを膝まで下ろしたままソファーで
 爆睡しているところを母に見つかり、
 しこたま罵倒された父。
…母の作る水っぽいカレーが不味いと
 言えず「自分はカレーが苦手」と
 何十年も嘘をつき、隠れて駅前の
 カレー屋に通っては大盛カレーを
 食べていた父。
…私の就職が決まり高級寿司店に連れて
 行ってくれたものの、自分は玉子以外
 食べなかった父。
…母に見せてもらった昔のアルバムで
 今の私とそっくりだった父。

最高に愛すべき小動物は、世界一尊敬できる唯一無二の父親だった。

✤✤✤

本作『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』のシーザーの面持ちは、北島三郎以上に父にそっくりなのだ。
感情移入しないわけがない。
何なら、私の脳内では『猿の惑星』ではなく、もはや『サブの惑星』なのだ。
ただ一つ、父とシーザーとの違いは、知能指数だけである。
無論、シーザーの方が遥かに高い。

…と、これだけ好き放題書いておいて説得力も何もあったもんじゃないが、本作『猿の惑星:創世記(ジェネシス)』はそんな私情や忖度を全て捨て去っても、胸を張ってオススメ出来る至高のエンタメ作品だと断言したい。
残念ながら、本作のあらすじを語り出すと、1968年公開の旧作『猿の惑星』の衝撃ラストまでネタバレしかねないため、ここでは伏せておく。
未見の方は是非とも御鑑賞頂きたい。
現在ディズニープラスで配信中。

追伸)
実家の父へ。
寒くなってきたから風邪ひかないように、ステテコとパンツは上げて寝てくれ。
創世記は観たくとも、貴方のソーセージは見たくないので。
恐惶謹言。
カポERROR

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