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私の名はパウリ・マレーのいろどりのレビュー・感想・評価

私の名はパウリ・マレー(2021年製作の映画)
3.5
「私はあなたのニグロではない」に続き鑑賞。パウリ・マレーは今では生家が史跡に登録されたりイェール大学の寮の名前になるなど有名になってきているようだけど、ずっと歴史の影に隠れていたのは、今現在LGBTQ+の人たちの道しるべとなっているように、当時の時代がパウリに追いついていなかったというのがよくわかる。肌の色は白でも黒でもない中間色で、男でも女でもないセクシャリティだったというパウリだからこそ、つねにニュートラルな感覚で時代を駆け抜けられたのかもしれない。

今では当たり前になっている考えの多くはパウリが提唱していたというのは初めて知った。人種隔離を撤廃させるために法律を学ぼうとしたり、公民権運動全盛期に女性の基本的人権の獲得や性差別撤廃を叫び続けたり、パウリのあまりの力強さに圧倒されてしまう。ルーズベルト大統領夫人と親友になったり、最高裁判事で女性を男性と同じレールに乗せたルース・ギンズバーグに影響を与えたりできたのも、きっと魅力的な人だったというのが凛とした顔つきからも伝わってきた。

晩年は黒人女性初の司祭になったというパウリの姿から、今までずっと人に話し続けた能動的な立場から人々の話を聞く受動的な立場へ、自分の中でしっかり人生を完結させたかのように思え、パウリの力強い生きざまを見た。
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