yuki

歩きはじめる言葉たち 漂流ポスト3・11をたずねてのyukiのレビュー・感想・評価

5.0
🙇‍♀️上映館が激少で参考にならないレビューですが、自分の記録用に。



寂しい、悲しい、苦しい….etc.一般的に「負の感情」と言われる気持ちは外に出すことが難しい。

飲み込んでしまった言葉は文字や涙になって出ていく。

今作の副題になっている漂流ポストとは、震災遺族の“心にしまわれたままの悲しみ”が「手紙を書くことで癒されれば…」とご主人の赤川勇治さんが思い立ち、開設された。

震災遺族同士では誰かを亡くした悲しみを口にすると、(悲しいのは)あなただけじゃないと言われてしまうので口に出せず、他府県から移住してこられた赤川さんに、悲しみを打ち明けに来られていたという。

ナビゲートをつとめる升毅さんは軽妙洒脱なお芝居をされるイメージがあった。
いつしか真っ白な髪になっていて、演技とは思えない素の感情を吐露される姿を見ていると、震災遺族でもなく、佐々部監督作を1本も観たことのない、なぜこの作品に呼ばれたか分からない私が嗚咽していた。

こみあげる涙も声も抑えられないー
初めて、映画館で中座した。
何がそんなに悲しいのか、分からない。

気が済むまで泣いて15分程経過した頃、席に着ける落ち着きを取り戻す。
カーテンを揺らさないようにドアを開けると、キャスト陣の笑い声に包まれていた。

佐々部監督ごめんなさい。
でも、別れから逆に始まる出会いがあってもいいでしょう?
最初に遺作の「大綱引の恋」を観るのは、おかしいですか。
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