海老シュウマイ

今はちょっと、ついてないだけの海老シュウマイのレビュー・感想・評価

1.0
このタイトル良いなぁ。
生きづらさビジネスとして良く考えられてる(原作未読)。

とはいえ、映画としては開始直後に奥山佳恵がキャッ!キャッ!キャッ!って三回悲鳴らしきものをあげたところで、リアリティのラインがだだ下がり、真面目に観ないでねって言われたのでちゃんと観てないけど、

話の構成や時制のいじくり、突飛なアングルのカットなど、そんなトリッキーなことをしないと成立しない、あるいは埋もれてしまうと思っているのか、結局、お話に自信がないんだろうってことが伝わってくるのは悪手な気がする。

その割に映画的矜持として映像で見せる気もなく、モノローグを含め説明的だし、冒頭の奥山佳恵のような舞台っぽいオーバアクトがあったり。
インディーズなら自分の好きに作家性?を爆発させていいけど、4つも自治体からお金をもらってオナニーするのはさぞ気持ちよかろうとしか。


また、お話として、生きづらさをテーマに、「弱者」を扱うからこそ、登場人物の背景は考えすぎなぐらい考えて、掘り下げないといけないのに、家庭不和、借金、リストラみたいなワンワードで片付けられるような薄っぺらい記号的配置と、何よりそれぞれが「それ別にツイてないとか関係なくない?」なのがヤバい。
借金を背負うのは自分の選択だし、自分に向いてない職業選択の結果としか。

自己責任論を展開するつもりはなく、単にその借金を返す必要ある?その仕事を続けたいように見えないけど転職したほうが良くない?悩む必要ある?という感じ。

そして結局、本来、悩まなくていいことを勝手に悩んで、がんばって世間のルールに飲み込まれることが成功、良きことってそれが唯一の正解ではないでしょ。

深川麻衣(聖母)が人と接したり、自分の考えをうまく言葉で表現できないなら、別にそれでもいいわけで、
グイグイ来る販売員とか、やってもらってる間に世間話するのが苦手なお客だっているわけで、そこにフィットしました、彼女なりの居場所を見つけました、でいいと思う。あるいは「あなた、お世辞言わないから気に入ったわ」とかさ。

生きづらさビジネスをやるなら無条件でそのままを認める、これ大事よ。
ゆる〜いテイストで人物を描いているのに、やってることはビルから飛び降りようとしてる人に向かって「頑張れ!」って100万回叫ぶような。
このテーマだからこそ、観客にあぁ作り手はこっち側じゃないのねって思われたら終わりだよ。