りっく

自由を我等に 4K デジタル・リマスター版のりっくのレビュー・感想・評価

3.7
冒頭よりベルトコンベア式の工場で出来上がる商品と労働者を流麗なカメラワークで映し出す。画一的かつ革新的な超モダンな工場のデザインと、ルネ・クレール作品の最大の魅力であるカメラと人物の配置や動線の見事さが最後まで貫かれた、洗練されたドタバタ音楽劇に魅せられる。

非人間的な機械文明への鋭い風刺と、富や名声よりも友情や自由を選び取り、たとえ労働が奪われ浮浪者になったところで、それは成り下がった没落の姿ではなく、人間であることの自由は手放さない。それは後世にも通ずる映画における自由を象徴するイメージではあるが、現代の視点ではあまりにも牧歌的で楽観的だ。
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