チャップリンの名作『モダン・タイムス』の原型となる巨匠ルネ・クレール監督作。機械文明の発達に伴い文字通り社会の歯車として労働者の尊厳が失わなれていく過程をユーモアたっぷりに描いたブラックコメディの『モダン・タイムス』とは対照的に、本作は機械文明の発達による労働からの解放をミュージカル仕立てで描いている。蓄音機製造の完全自動化により、しれっと工場外の水辺で釣りを嗜む連中が滑稽すぎて笑えた。
ベルトコンベアでの1人のミスによる連鎖的なトラブルはチャップリンが真似したように、『モダン・タイムス』へと継承されていった場面が多いが、オマージュ元となる本作はやはり地味な作りで、かつ過酷な現実と向き合いながらも笑い過ごすエンディングの爽快さもやや劣る。