あしからず

最後の決闘裁判のあしからずのレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
3.7
もはや社会全体の通念として女性が完全に男性の所有物だった時代、これでも魔女狩り全盛期前という事に目眩(ここから更に地獄があるのか…)
夫・夫の旧友・妻という三人の目線から捉えた真実を三人の脚本家が担当。
冒頭で男は鎧を纏い女は敬虔な服を着せられ、その後も服を着る/脱ぐ、また着せられる/脱がされる行為が場を不穏に揺らす。
マルグリットが敗訴の結果自分がどうなるか知らず、知ってれば口を噤んだ的ニュアンスを言った所が一番印象的だった。理性ある人なら裁判のリスクの大きさに口を噤む方を選ぶのも理解でき、義母の判断もやむを得ない。実話の彼女が敗訴の結末を知っていたか不明だが、結局セカンドレイプや嘲笑や罵倒を耐えうる強い精神性だけでは補えない、黙らざるを得ない究極の状況を用意した当時のシステムにありったけの嫌悪を。決闘前はリアルに吐き気がした。
自分が信じたい事柄が真実となり神さえ我が物にする人々の業は現代でもそう変わりはしないけど、それでも「テルマ&ルイーズ」の時代も超えてゆっくりだが確実に変化してる部分がある。そしてマルグリットのように声を上げ続ければ私達はきっとまだまだ変われる
あしからず

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