ヨミ

最後の決闘裁判のヨミのネタバレレビュー・内容・結末

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

リドリー・スコット!!!!!!!
もうこいつの美術への信頼が揺らぐことはない。良すぎる。
意匠/衣装が最高。布、汚れ、鋼。14世紀のヨーロッパが流れる。これが「中世ヨーロッパ」か!
この美術を観にきたと言っても過言ではない。撮影も美しく、ラストシーンの吊るしを撮るクレーンとか、風景と都市の融合した美を堪能できる。
『ハウス・オブ・グッチ』がますます楽しみになっています。

文句があるとすればFilmarksくん、君さあ……。Filmarksの広告で「リドリー・スコットやってんだ。行こ」と思えたが、”リドリー・スコット版『羅生門』”って書いちゃうのはどうなのよ。構造を全部説明できちゃってるじゃんそれで(他の宣伝見てないので、それが公式から言ってるのかは不明)。
まあ黒澤がイタコ的なのを持ち出してきたり、撮影手法そのもので物語る視点を表現したのに対し、本作は別にそこまで揺らがせるわけではない。”真実”パートが強調されるし、(それを信用するかどうかはさておき)より単純な構造なのではないか。
中世ヨーロッパ的物語を楽しんでいたら女性抑圧と封じられた声の物語に変容していくのは現在性が強くもあるが、「ひと粒で2度おいしい」。性被害を押さえつける言葉の数々をあからさまにしてみせることによって「お前ら14世紀と一緒!」と性差別主義者へ宣言する手つき。「男は馬鹿だからね」と言ってみせるのも、バーホーベンにやらせたらどうなるかなと思ってにこにこした。

最後に喝采する女性たちが描かれるところ、『ワシントン・ペーパーズ』のラストを彷彿とさせられるが、ぼくはああいうのに弱いのでちょっとうるっとした。

『ゲーム・オブ・スローンズ』をはじめとして、このような素晴らしい質感が映像としてレンダリングされると思うと、楽しみでならない
ヨミ

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