ボギーパパ

最後の決闘裁判のボギーパパのレビュー・感想・評価

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
4.3
劇場2021-80 TC上


リドリー・スコット監督作

マット・デイモン、アダム・ドライバー、ベン・アフレックと芸達者が揃った上で、御大が14世紀フランスの騎士たちの世界を描いた歴史ミステリー?作品。based on true story.

脚本にはマットもベンも加わっている意欲作ですね。

時は14世紀、処はフランス、階級的には騎士
自分の持っているなんとなく薄暗い、黴臭い、古式ゆかしい、野蛮を抑え込んだ形式主義の世界のイメージを、監督の色調表現が具現化してくれた。嬉しい!

扱った題材は現代でも大問題・レイプ。人間が生き物である限り避けられないのか・・・特に当時は倫理観が宗教に縛られていながらの、男性主義の封建時代。女性は家族や社会や宗教やなんやかやに呪縛されているし、科学は「あんな感じ」だし、酷いもんだと改めて感じた。でもあまりまだ変わっていないのかもしれないところが怖い!

そして描き方だが、事件発生までの被害者の夫、加害者、被害者の視点でチャプターわけして展開。これが素晴らしい!
少しずつ、少しずつ視点を変え、見えなかったところ、影になっていたところが、三方向から映し出され、描き出されて一つの物語になっていく。そして最後の怒濤の奔流「決闘裁判」へ。

そしてこの三つの流れの側面には、それぞれの持つ環境、社会、他者との関係が複雑に絡み合いながら存在し、物語の重層化=奔流へ貢献している。見応え抜群。何度でも観たい作品の一つとなった。

登場人物は全て、それぞれある意味で魅力的。
ちょっとダメ感出過ぎの国王。
その隣でなんとも言えない表情を醸し出す王女。
金髪豚野郎ピエール。ベン・アフレックの金髪って・・・
カルージュの母親。
マルグリッドの友達。
ル・グリの従者。
教会?裁判の判事たち、、、
そしてカルージュ、ル・グリ、マルグリッドは3方向から人間を観る事ができた。

唸るしかない作品でした。
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