タカシサトウ

最後の決闘裁判のタカシサトウのネタバレレビュー・内容・結末

最後の決闘裁判(2021年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

 14世紀のフランスにおける3人の男女のなかで、女性がレイプ被害かどうかを、決闘の勝ち負けで判決を決めるという決闘裁判と、女性のレイプ被害を泣き寝入りしない、というのがテーマらしき映画。

 黒澤明監督の「羅生門」に物語の内容も、語り口も似ていて、“羅生門スタイル”の映画。

 「羅生門」の方が私は面白かったのだけれど、こちらはもっと進歩的、女性がこうなると、いかにさらし者になるか、でもあくまでも黙っていずに飲み込まない、という姿勢を貫くのがそうだと思う。

 そして、この時代だから、普通の裁判でなく、決闘で勝った方が(神の名のもとに)正義となる。

 また、「羅生門」のように、それぞれの視点や、事実が人によって全然違う、のではなく、事実はほぼ同じだけれど、それぞれの思いが違うという作りなので、よく観てないと分からないところもある。

 マット・デイモンのジャンもアダム・ドライバー のジャックも自分のことしか考えていない酷い男なんだけれども、役者は二人ともとてもいいので、かなり魅せる。中心はマグリット(ジョディ・カマー)。

 最後の決闘は、本当にどうなるか分からず、緊迫し、かなり凄い展開だった。久しぶりに、リドリー・スコットの映画を観た。

 で、決闘が決着しても、苦みがのこり、スッキリしないが、ラストカットでは、平穏で、希望を持ちつつ終わる(2024.1.14)。