パリの下町に住む気のいい”ロクデナシ”ジュジュの心を許せる兄貴分は街の音楽家。ある日捕り物騒ぎのどさくさに、音楽家を喜ばせようと彼の好物のフォアグラをくすねたことから、ちょうど警察に追われていた殺人犯を音楽家の家で匿うことに。
ジュジュは殺人犯になぜかなついて世話を焼くが、住民の様々な思惑がかさなり、どこで秘密がばれるか、誰が切れるか、最後までハラハラして退屈しない。
面白いのはこの下町の界隈の人々の寛容さと日々の閉塞感。子供たちがニュースをネタに逃亡犯ごっこをしたりする。こういうところに付け入るスキがあったのか殺人犯はけっこう楽し気に地下室に隠れ好き放題する。
ラストは映画のお手本みたいな見事な〆方で、さすがルネ・クレールと拍手喝采。映画の中で積み上げた描写を丁寧に見ていれば、これ以外の結末はあり得ませし、説明不足も全くなかった。
ルネ・クレール、生誕120周年なんですね。私は相性がよく、いまのところ見た映画はすべてあたりでしたので、全作品上映してほしいものです。
(まるで我慢比べ 2019/8/9記)