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カード・カウンターのTLsのレビュー・感想・評価

カード・カウンター(2021年製作の映画)
4.0
この映画も公開当時から楽しみにしていた作品なので期待値は高めだった。
アブグレイブ収容所で唯一有罪判決を受けた男の話。なので、ギャンブル物と一種の帰還兵物を組み合わせた作品になっている。。

私が思うにこの物語はルーティン好きの主人公がもう一度自分自身を見つめ直すというものであり、ポーカーといったギャンブルはあくまでも彼のキャラクターを表す一つに過ぎない。この物語を通して、復讐を目論む若者との旅、ひと時のロマンスなどイレギュラーな要素に遭遇するが、冒頭の独白にある通り、フィナーレの事件を通して再び自分が元居た場所に戻る。この展開が主演のオスカー・アイザックの演技も相まって非常に私にとってしっくりくるものだった。

この主人公の造形を非常に良く。モーテルの家具をすべてシーツで包んでいたり、背中のタトゥーや灰色のスーツなどかなり印象に残るキャラクターを作れていたと思う。彼が結局アメリカを模したポーカープレイヤーに勝てなかったのが、彼が結局元の状態に戻ってしまうことを暗示しているとも感じたが、他の人の意見を聞きたいので断言はしない。

話のほとんどが主人公と若者のロードムービーで、主人公も割りと社交的なので、作品全体としては見やすかった。ポーカーの大会などわかりやすい見所があったのもよい。前述したあらすじだけだとバットエンドのように思えるが、彼は大好きなルーティンの日常と愛を手に入れることができたので十分幸せでいられると思う。過去との決着のつけ方も私のとって意外性があって、最後まで楽しんで見ることができた。
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