伏せられたカード 忘れられぬ過去
現れる数字 暴かれる罪
復讐に燃える若者との邂逅が
決して赦されないあの日の大罪に
未だに燻り続けるあの日の狂気に
再び火をつける。
あったはずの輝く未来はとうに消え、
まだ取り戻せたはずの未来も零れゆく。
私のやり場のないこの怒りに
休まるところを知らぬこの魂に
いつか救いの手が差し伸べられるのだろうか。
戦時中にとある罪を背負った男(オスカー・アイザック)と罪に人生を狂わされた若者(タイ・シェリダン)、この二人の掛け合いが実に素晴らしい。
オスカー・アイザックの重く苦しいモノを背負った暗い瞳には吸い込まれるようであり、タイ・シェリダンが流すひとすじの涙には、もしかしたらまだあるのかもしれない希望を思わせるだけの力があった。
ギャンブラーが主人公ではあるが、ギャンブル映画に在らず。人生はギャンブルのようなものなのかも…と思うこともあるが、BET(賭ける)するのは結局は自分自身。乗るかそるかは己の心一つ。
結局は登場人物それぞれが賭けるもの、賭けるタイミングを固唾を呑んで見守る秀逸な人生ドラマであった。
ちなみに…。
ウィレム・デフォーはどの作品でもインパクトを残してくるが、今作では珍しく控えめ。
アイザックとシェリダンの芝居が良すぎたせいかも。
あと、シェリダンを最初バリー・コーガンと見間違えたのは私だけではないはず。
(いや、私だけ?)
パンフレットはキーアイテムのトランプをあしらった上質な出来。
こちらも作品同様おすすめしたい。