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カード・カウンターのhamaのネタバレレビュー・内容・結末

カード・カウンター(2021年製作の映画)
4.8

このレビューはネタバレを含みます

罪を罪として背負い続けることと、人間として生きることの狭間を問い続けるような映画で、地味なんだけど響くものがあった。

ブラック・ジャックという賭けの特性は主人公曰く"過去が未来の期待値に影響を及ぼすこと"である。過去の桎梏に囚われストイックに生きてきた主人公が自分の選択や未来を取り戻すという意味において、感動的な映画だった。

アブグレイブ刑務所において力の偏流(尋問者が囚人に対し、逆効果にも関わらず強い権力の行使を行うこと)に呑まれ、残虐な拷問を行う兵士に改造させられた経験が、感情や欲望の発露に対する罪の意識を大きくさせたのだろう。ティルト(勝ちにこだわって正常な判断ができなくなる状態)に陥るのを回避しつつ禁欲的な賭けを重ねてきた主人公の姿は、またある意味で人間性に欠けたマシーンのように映る。

「狂わないために狂っている」としか言いようのない袋小路で苦しむオスカーアイザックのポカンとした目つきや、手のショットの蓄積も映画全体としてすごく効果的に感じられた。

モーテルでの日記記入タイムを見るたびに、ポール・シュレイダーどんだけ田舎司祭の日記好きやねん、と微笑ましい気持ちになった。
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