藍紺

カード・カウンターの藍紺のレビュー・感想・評価

カード・カウンター(2021年製作の映画)
3.8
永遠に取り除けない過去の重荷を背負ってカジノを渡り歩く元軍人の贖罪と復讐の物語。

オスカー・アイザックが孤高の主人公ウィリアム・テルを好演。抑制の効いた陰のある男がとてもよく似合ってたな。ウィレム・デフォーとの因縁の対決シーンは見せすぎないのがポール・シュレイダーらしくて良かった。

ただテルの復讐心は伝わってきても良心の呵責のようなものはあまり感じられなかったのが残念だった。アブグレイブ刑務所での加害行為に対する後悔がより分かるシーンを入れて欲しかったかな……。テルは適性があると上官に認められるほど能動的に残虐行為に加わっていて個人的に受け入れ難かった。あれだけ嬉々として加虐するテルが服役しただけで人が変わったようになるのかな?別人すぎて戸惑ってしまった。だからこそ、そんな非道な男がどうやって改心していったのか、納得できる描写を入れて欲しかった。
全体的にクールなまま着地するかと思いきや、ロマンティックな展開もあったりして、ちょっとラストが都合良すぎでは?自分は甘くない方が好きなので好みの問題ですね、ごめんなさい。
藍紺

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