yksijoki

カード・カウンターのyksijokiのレビュー・感想・評価

カード・カウンター(2021年製作の映画)
4.0
激渋ポーカー復讐サスペンスだった。オスカー・アイザックの演技が素晴らしい。顔、顔、顔。あの表情は並の人間じゃ出ないと思う。目かなぁ、なんとも言えない掴みづらい表情をしているときと本当に恐ろしいことをしそうな真顔との組み合わせが素晴らしかった。

音楽もめちゃくちゃ刺さった。アンビエントとサイケデリックの間というかループしていく音のダークさと呼吸のような音とが非常に印象的でいいエッセンス担っていたと思う。

カードカウンターはポーカーのテクニックで残り枚数や手元からカードを読む的な技能であり、劇中ではぶち上げて大きく勝つ的な意味でも説明されていたと思う。主人公は小さく目立たないように勝ってその場を去るがモットーであるという感じ。彼自身の贖罪と復讐、生と死と心の内がポーカーのように局面が変わり、揺れ動き、選択肢がなくなっていく。

ストーリー自体はそんなに展開がなくて地味だし盛り上がりどころも小さいので退屈と感じる人もいるとは思うけどやっぱり画のルックが良すぎるのでそれで全然持つ感じがした。オールドスクールっぽい画作りもありつつ、やはりカード、手先、目、ウイスキー。このあたりを中心とするカットがめちゃくちゃ格好よかった。

日々を同じことの繰り返しにすればするほど人生における選択肢は狭まって、それはそれで楽なんだと思う。拷問や監獄もそうで、大学も近いんだろう。ただそこにはやるせなさがあるし、そこで得たものが無価値に感じるようなことは往々にしてある。変えてやろうと誰かの責任にしてしまうこともまた人生なのかもとか思ったり、思わなかったり。

キャスト★4.2
ストーリー★3.9
プロット★3.9
バイブス★4.2
演出★4.2
映像★4.0
音楽★3.9
全体★4.0
yksijoki

yksijoki