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カード・カウンターのSSDDのレビュー・感想・評価

カード・カウンター(2021年製作の映画)
3.8
◼︎概要
カードカウンターと呼ばれる、場に出たカードを記憶することで確率論を計算する手法で大きくは賭けずに勝ちながら放浪する男。過去に起きた出来事に関わる人物に出会うことで変化を好まない男に変化が生まれる…。

◼︎感想(ネタバレなし)
カジノ映画となるとストーリーは、借金苦などの理由から現状からの脱出や、アメリカンドリームを叶える、カジノへの報復など様々あるのだが…本作は過去が露見していく謎の男の話が想像もしていない方向で驚かされる。

カジノという一見して煌びやかな世界に身を投じながら、暗い影を感じる不思議な作品。

あまりにもディープな闇を感じる本作は、スリービルボードあたりを観た時と同じようなやりきれない思いを抱く作品でした。

あまり類似性をみない作風なこともあり、単純に処理しきれない感情になりました。
連休終わりに観なくて良かった。

とてもいい作品ですが、私はかなり深く刺さりました。












◼︎感想(ネタバレあり)
・贖罪と報復
過去の戦争での非人道的な尋問と、逮捕された刑務所で暮らしで壊れた心が目的もなく、起伏なく生きる男の過去というのが、あまりにも衝撃的でした。

戦争で必要とされした行為が自身の本質的な暴力性を引き出し、犯罪者となりトラウマとなるというあまりにも悲しい過去。

同じ経験をした父親により人生が壊れ、罪に問われなかった上官に報復したい青年。
それをギャンブルを通してリスタートの金を稼ぎ、贖罪しようとするというストーリーはセンセーショナルでした。

どう終わるのかと思っていたら報復の道というなんともいえない悲しい結末は、戦争体験者の起きた出来事というのに終わりはないということを指しているのでしょうか。

行った行為の代償は永劫に残る地獄なのでしょうか。

「本当の地獄は頭の中にある」
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