きょう

LAMB/ラムのきょうのネタバレレビュー・内容・結末

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

終始不穏な空気感◎
アダちゃんのシュール可愛さ◎

ビジュアル重視を期待して正解だった映画。

セリフや説明は限りなく排除されていて、雄大なアイスランドの景色をバックにじっくりとお話が展開される。
その分、観ながら考えや想像を巡らせる余白があった。

アダが「犬や猫と接したり鏡で自身を見つめる」シーン、一方で「差し出された草を本能で喰んでしまう」シーン。羊か人か、アダのアイデンティティーが瓦解するようでゾクゾクしてしまった。
成長してどちらかの道を選ぶ展開になるかと思いきや、"あの獣人" の登場でまさかの第三の道へ…。

一方で母マリアだが、産まれた異型に亡くなった娘の名を冠す、追いかけてくる母羊を銃殺するなど一歩引いて見ると実はかなりのエゴイスト。
その代償として今度は娘ならず夫までも失う事に。何かの気配と自分の状況を悟って達観したような最後の表情が切ない。

"あの獣人" の正体など全ての説明があるわけではなく、結末もある意味投げっぱなしだが、本作は《御伽噺の一端だけを切り取ったもの》と勝手ながら解釈。
ツッコミどころもあるが、ビジュアルで語る映画としては個人的には大満足できた。
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