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LAMB/ラムのQIのレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.8
“幸せってやつさ🐏”

A24配給(制作ではない)という情報、そして予告編を含めたプロモーションはミスリードを誘うかもしれません。

そんな情報無しで、目の前で繰り広げられる出来事を素直に受け止めることができれば、本作は非常にわかりやすい寓話。

羊飼い夫婦の奥さんの名前がマリア
ある出来事が起きるのがクリスマスの夜

そんなこともあって、おそらくキリスト教や北欧神話に関する寓意があるのは間違いありませんが、それについての知識がなくてもそのテーマはしっかり伝わりました。

なのでそれらの背景を理解していったらスコアはもっと上がるような気がします。

舞台となるアイスランドの自然の美しさと決して抗うことはできないと感じさせる威圧感。

当初は目の前の出来事に戸惑いを感じた俗世間からの参加者も、それを普通の出来事のように受け入れてしまうほどの力がその場所にはあります。

ただ夫婦の過ちはそんな自然の摂理(と言っていいかは?)から“幸せ”を奪い取ったこと。

羊飼いという生業も、ある意味自然や人間以外の生き物からの搾取で成り立っているということはどこか『NOPE』と共通するものを感じます。

そしてなんと言ってもマリアを演じるノオミ・ラパスのこの物語への圧倒的なハマり具合がスゴイ。

かつて失った“幸せ”を他から奪い取ることで手に入れただけでなく、必死に守り愛する姿は痛々しくも美しい。

そしてラストに起きる衝撃的な出来事の後、全てを理解したかのように畏敬の念をもって自然を見つめるその視線が目に焼き付いて離れません。

p.s.
リニューアル後の初丸ピカ。
ベスポジ2階最前列にて鑑賞😉
前の手すりがあと5センチ低ければ最高なのに😅
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