このレビューはネタバレを含みます
"人羊一体"
本日の映画館ハシゴ3本目。
「ヒツジの頭にヒトの体」。
そんな衝撃的なビジュアルを持つ「子ども」が登場すると知り、また本作があの『ミッドサマー』『ヘレディタリー/継承』を世に送り出したA24の配給とあっては見に行くしかない。
自分が足を運んだ劇場は、その話題性の高さと3連休の中日とあってかほぼ満席。
友人同士やカップル、自分と同じおひとり様など様々な客層。
期待と不安を胸に、我々が見た「真実」とは---。
✏️で、結局
ある日一頭の羊が産み落とした「子羊」。
それは頭と右手(脚)は紛れもなくヒツジだが、それ以外の部分はヒトそのもの。
そんなものを目の当たりにしておいて、
「よし、これを我が子として育てよう」
と決断するイングヴァルとマリア夫妻の精神はかなりイってしまっている。
(後に夫妻は、娘・アダを亡くしているという事実が明らかになるが、それを考慮したとしても)
そんな夫妻の元に、夫イングヴァルの弟・ペートゥルが転がり込んでくる。
何も知らぬペートゥルに「これが私たちの家族よ」と半獣半人のアダをお披露目する夫妻はやっぱりちょっとどこかアレだし、最初はそんな得体の知れない存在であるアダを警戒していたペートゥルも時が経つと「良き叔父」として振舞おうとしている。
上映中常に漂う、「居心地の悪さ」と「気味悪さ」、そして「次に何が起こるか分からぬ気持ち悪さ」。
ここらへんの要素はあますところなく発揮できていて、さすがはA24配給作品。
が、しかし…。本作を最後まで見て、
「で、結局何がしたかったん?」
という言葉が口をついて出そうになる。
本作における最大の謎。
それはやはり、ヒツジから生まれた娘・アダの出生の秘密。
ヒトとヒツジの異種交配が行われたのか…
何かの突然変異なのか…
そんな想像を上映中常にしてしまっていたワケだが、蓋を開けてみればまさかの北欧神話にいそうなクリーチャー登場。
そのクリーチャーが器用に銃を使いイングヴァルの喉と胸、つまり急所を的確に狙い殺害。
夫妻にとって最愛の存在であるアダは連れ去られ、イングヴァルの亡骸を抱きマリアは途方に暮れる。
…いや、途方に暮れたいのはこちらなんですけど。
アダが連れ去られ、夫を殺害されたマリア。
ここから、クリーチャーを打倒するための「一狩りいこうぜ!」が始まるのではないか?
そんな淡い期待を抱いたりもしたが、マリアが途方に暮れため息をひとつ着いた瞬間を最後に本作はエンドロールへと遷移する。
…え?終わり?
何か重大なシーンを見逃していたのではないか、自分の学が足りなさすぎてこの映画を理解できなかったのではないか、自分が気づいていないだけで何かとんでもない裏テーマやメッセージが隠されているのでは…
そんなことを考えもしたが、やっぱり逆立ちしてもこの映画で何を表現したかったのかがイマイチ分からない。
☑️まとめ
2022年秋季の中でもかなり期待の映画だったのだけれど、さすがA24作品。
簡単には楽しませてくれない。
他の方の考察やレビューを楽しみに待ちましょう。
🎬2022年鑑賞数:105(45)
※カッコ内は劇場鑑賞数