静かで寓話的な作品でした。
予告の段階ではもっとどろどろしているかどんどん日常が狂っていく泥沼化作品だと思っていたので初視聴時は若干拍子抜けしました。
神話には明るくないのでそういった要素はけっこう見逃しているでしょうが、画面に映るもの一つ一つが展開や心情を表す象徴的なものでこだわりのある演出だと感じました。
最初は神話への皮肉でやっている感じの作品なのかな~と思いながら観ていたんですが、意図が汲めなかったので二周目を観たらどちらかというと親子の人間ドラマや畜産業・食肉行為への投げかけ(善悪ではなく立場を変えれば同じことをしている主人公たち人間のあり方)のような身近なテーマだったように感じました。
好みの方向性とは外れていましたが、不気味さや不穏な演出の割に静かに家族の日常を見続ける時間は無駄がなく、他で味わえない感覚で心に残りました。
言葉を使わずアダの心境を巧みに表現していたのも見事です。