ぬ

LAMB/ラムのぬのレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
4.0
羊と人間のハイブリッドのアダちゃんがかわいい……アイスランドの自然美しいと同時になんだか怖い……人間は腹立つ……
話はあんまり理解できていない気がするけど、それでも魅力はかんじる作品だった。
数少ない人間たちと犬と猫と羊たちが出てくる作品ですが、人間はもちろんのこと、動物たちの演技(というか魅せ方?)がとてもよい。

大変にミニマリストな映画。登場人物も少ない、限られた場所しか出てこない、セリフも少ない。
よく言えば考察のしがいのある、悪く言えばわかりにくい「どういうこと…?」という映画ではある。
ちいかわ風に言うと「世の罪を取り除く神の小羊…ってコト!?」ってかんじでした。
アダちゃんは人間の愚かさがあぶり出すために現れた存在なのかもしれない。
そして、アダちゃんの「半分が人間」ではなく、「完全に羊」だったらどうだろう。
「アダちゃんを生みの親から引き離すなんてかわいそう!」と思ったけど、私含め人間が動物を当たり前のように親と引き離して家族の一員だのなんだのと言ってるのとなんら変わらないんじゃん、と思ったりしました。
人間は他の生き物、自然より優っていて、人間のためならば他を好きにしても構わないという傲慢さ。
人類の自然への関与の仕方、みたいなことも考えさせられる。
人間ではなく、自然を中心に生活をしている(せざるを得ない)、というか、人間も自然のごく一部に過ぎず、そこに優劣はないという考え方が根付いているであろうアイスランドの監督ならではの視点もとても感じた。
(そう思うと、ほかのアイスランド映画、たとえば『立ち上がる女』『ひつじ村の兄弟』『春にして君を想う』などにも通じる自然観があった)

ファンでありながらノオミ・ラパス様がアイスランド語話者であることを知らなかったなぁ。
それにしてもなかなか難しそうな特殊な役どころの多いノオミ様。
相変わらず演技力抜群で美しかった。
ぬ