このレビューはネタバレを含みます
思ったほどホラーではなかったかなぁ。
日常ではあり得ない動物の視線集中、強い意志を感じる目とかの異常さが不安を煽った。でも怖い絵もびっくりも無かったからスリラーとして楽しめる。
マリア、アダって名前的にキリスト教要素が少し入ってんのかなー。閉鎖的な環境だからどんどん考え方が歪んでいって、自分たちの異常さに気づいてないっぽい。娘を亡くしたとはいえ、そうはならんやろ…。
母羊にめちゃくちゃ感情移入しちゃった…。
今までは普通の羊だったのに、羊人間に苗床として(恋愛や子を成したい相手の意ではない)選ばれて高知能の亜種との交流で知性が芽生え、執拗以上にアダに執着したんだと思ってる。母同士同じくらいの想いを持ってるはずなのに、それをあっさり銃で殺して、なす術もない母羊が気の毒でしかない。武器を持つ特権の無い動物には何もできることはなかったのか……と思っていたところを、羊人間が銃で父親を殺したところは驚きつつもスッキリした。
人が銃で羊を殺す、という逆はありえないやり方をさくっと反転させられて、求めすぎたあまりにアダも旦那も失ったマリア。とはいえちゃっかりしてそうだから旦那の弟を呼び戻して新たに家庭を持ちそうだなー。
夫婦はアダを育てるという狂った行動に出たけど、犬はきっと人間とは見てなくてどちらかといえば羊っぽいのに人間らしさもあって困惑。猫はそんなものぜーんぶ特に興味無くて窓から外を眺めるのが好きって動物でも差があるのが面白かった。
さすがA24!といえる考えがいのある作品だった。