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LAMB/ラムのhasseのレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.1
演出2
演技4
脚本3
撮影2
音楽4
技術4
好み3
インスピレーション3

いま乗りに乗っているA24作品。

アイスランドの片田舎で、羊から生まれた「羊ではない何か」を、亡くなった幼い娘アダの生まれ変わりと信じて育てる夫婦の物語。

半分人間の見た目だからと言って、それを娘として育てようと思う感性は明らかに異常だ。前半は夫婦しか登場せず、幸福そうに暮らしているのでその異常性がクローズアップされないのだが、子供を取り戻しにきた母親羊を射殺する妻の行為は、客観的に見て身勝手で傲慢だ。「この子は死んだ娘の生まれ変わり」というハートフルな物語に回収されがちな思い込みは、人間によるご都合主義の誤った信仰でしかないことを、容赦なく叩きつけてくる。

ラストの豪腕なオチがあまり好きではなかった。また、全編にわたって、セリフや動きを抑制した禁欲的なショットを心掛けているっぽいのだが、あまりうまくなくてショットが基本死んでいる。そこには感情も緊張感も荘厳さもなく、映像として魅力が全く感じられない。特に前半の夫婦の生活のシーンとか。周りを自然に囲まれた質素な暮らしの描写でいうと、ムーラー監督『山の焚き火』の足下にも及ばないし、アブラゼ監督『祈り』の完成された静謐なショットとか見てしまうと、どうしても失敗してるように見えてしまう。

ノオミ・ラパスの顔は良かった。毎日自然の中で生活し働いている人の、がさがさした肌質がリアル。
子羊の鳴き声ってすこし甲高くて、可愛らしかった。
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