このレビューはネタバレを含みます
羊が産んだ羊とは違う"何か"。子どもを失った夫妻はそれをアダと名付け実の子のように育て始める。
失われた時を取り戻そうとするのは人間のエゴかもしれない。想像を超えた出来事に現実を忘れておぼれていく夫婦を否定できないのは過去への後悔が普遍的だからか？
最後にアダの本当の父親である獣人によって悲惨な運命が夫婦に降りかかるのだが、獣人の登場は説明的に思えた。アダは最後まで抽象的な存在のままで人間の悲しいエゴにおぼれてしまった夫婦の破滅を描くという選択肢はなかったかな？と。
獣人がアダのアイデンティティの象徴であり、それを無視してきた夫婦の現実逃避を壊すための存在なのはわかるが。
母羊殺しという人間の業が罪深く、全く異質なアイデンティティを持ったアダがかわいいだけに哀れに思えた。
ホラーというジャンルではくくれない不思議な感慨が残る映画。
※後日受け売りも含めて感想を追加
アダちゃんがかわいい。
異形のアダはなぜ生まれたのか？
そしてアダと同じ姿の獣人は何を意味しているのか？
私は当初二人が具体性に欠け抽象的と思い込んでいたのだが、"人と家畜の間にあった罪深い行為の象徴"という具体的な存在だと気づいた途端、驚愕するとともに二人が悲しかった。
映画は初めから最後まで宗教的で、アダの母殺しまでして子を奪う人間の原罪を描くだけでなく、人間が過去に行った衝撃的な罪深い行為を描き切っている。
衝撃作なのだがもう一度見直したくなった。
