R

LAMB/ラムのRのレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
-
映画って面白いなと思う作品。
感想を言い合っても楽しい、
世界中の神話や宗教の話を混ぜ込ぜにして各々で解明させるのも楽しい。
お互いが奪い合ってきた様な、
羊と人間の因果の物語が古から語り継がれていそうな雄大で寒々しい大地。
季節の想像もつかない、肌寒そうな夏の白夜。

結局どんな考察もしっくりこなかったけど
「アダという名前はほとんどいない、直感的につけた」という監督のインタビューを読んでスッキリ。

自分が子を亡くしてずっと苦しみ生きている親だったら…と思うと二人の行動に驚きもなくてスムーズにアダちゃんが可愛く見える。
でも人間でも羊でもないアダちゃん、健気で終始切ない。
猫ちゃん犬ちゃん演技達者な羊たちがとにかく可愛い。
最後の瞬間がくるまではほっこり楽しめた。
言葉を発しないアダちゃんの目線が、
抗う事なく手を引かれる後ろ姿が切ない。
仔を奪った人と羊との心理戦だと思っていたけど、全く違って全貌を見せられて驚いたし、その後の女性と羊との関係も気になってる。
羊にとっても脅威の存在なはず…。
その後の想像や妄想を与えてくれる終わり方も、語り合いたくなるポイントで、受け取り手を信じて監督が作ってくれているのが嬉しい。
本当に映画が好きな方なんだなと思った。

特濃そうであっさりとした後味、熟慮された構図、色彩。
監督の今後も楽しみ。
(監督が卒業した映画科の他の卒業生作品も観てみたい)
R

R