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LAMB/ラムのmitzのレビュー・感想・評価

LAMB/ラム(2021年製作の映画)
3.0
アイスランドの田舎で静かに暮らす羊飼いの夫婦が、羊から産まれた羊ではない何かに亡くした娘の名前「アダ」を授け育てるまでの(最終的には)サイコスリラー的な作品です。
山間の静けさと羊の鳴き声、そして濃い霧。雄大な自然と2人の白い息など、荒涼たる原野風景により人間の心理だけが浮き彫りになる演出は見事です。
その中でプレビューを観た以上、ある程度「あれ」のことは想像がついてしまう「出落ち」映画ですが「見せる/見せない」の線引きが巧みで、気がつけば当たり前のように人間と共に生活をしている異質な存在に対して何一つの「ツッコミ」がなく、その違和感が作品としての個性を際立たせています。
大凡のプロットはエイリアン映画と大差はありませんが、気色悪い羊人間「アダ」との日常生活を最後までファンタジーとして描くと思いきや、思わぬ形で終末を迎える意外性も含めて(前述の通り)「見せる/見せない」の線引きにより成立させた異質な作品です。
決しておもしろい作品ではありませんが、結末の潔さと奇妙なラストシーンまで強烈な印象が残る作品です。
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